人はなぜ心が折れるのか?
目次
はじめに
気分の落ち込みが続くようになったら、なぜ自分がそうなったのか?
仕事柄うつの方をたくさん診させてもらう機会はあったのですが、恥ずかしながらそのような人たちに対して、
「ちょっと心が弱いんだ」もしくは「精神が弱っていたんだ」という思いで見ていました。
正直に言えば他人がうつになった理由なんて、考えたこともありません。
そういう意味では、私は医療職としてあまり良い人間ではなかったと思います。
私が極度の心配性や、大きな落ち込み(うつを発症)を経験してから、かれこれ6年が経ちました。
そして克服してから3年経ちます。
今までを振り返って、私の経験から人がうつになる理由を、ここで述べていきたいと思います。
これがハッキリすることによって、
今後自分が心を病む必要がなく、幸せな人生を送るためのヒントになるのではないでしょうか?
皆さんの人生の参考になれば幸いです。
心が折れる原因がわからない?!
一般的には、病気の原因は、内因性、外因性、心因性があると言われています。
それを知らないと、医療の資格を持つどころか、病院では働けませんから。ただ私は個人的に、そのような分類はあまり好きではありません。
よく精神疾患は、内因性の病気と言われています。
内因性の病気とは、原因がはっきりとわからないと言うものです。
原因がはっきりとわからない、得体の知れないものというのは、
医療の世界では「原因が分からないから、考えても仕方がない」と言うふうに言われている気がして仕方がありません。
私のようにうつになった人が、初めて行った心療内科の先生から
「あなたの病気は原因がはっきりわからない、だから原因なんて考えても仕方がない」
と言われたときに、どのように感じるでしょうか。
"原因がわからない=根治させる手段がない"
と言うふうにも聞こえてしまいます。
そこで私は、自分の経験からうつになる原因は、
ストレス、
疲れ、
食事、
遺伝、
生き方、
という5つに分類して、本質的な原因を探っていこうと思います。
ここで最初に結論を言ってしまえば、
私の思う「うつの原因」というのは「生き方」というものが最も大きいと思います。
では1つずつ見ていきましょう。
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心が沈んで動けなくなる原因はこの5つだ!
①ストレス
ストレスは、肉体的ストレスから精神的なストレス、また科学的なストレスなど様々なものがあります。
主にほとんどの人が想像するのは精神的ストレスの事ですよね。嫌いな人がいたり、
やりたくない仕事をやらなければいけない状況だったり、自分の意に反する事は全てストレスになります。
でも実は、嬉しいことが起こっても体と言うのはストレスを感じています。
例えば結婚することができたり、子供を授かることができたり、
それが人生の素晴らしい行事も気持ちが盛り上がる分、実は心はエネルギーを消耗しています。
知らず知らずのうちにストレスを溜め込むと、心は落ち込みやすくなり、またイライラしやすくもなります。慢性的になるとうつ状態になることもあります。
でも実は逆にストレスは必ずしも体に悪いとは限りません。
ストレスを悪いものと捉えると、実はストレスに弱い体になっていきます。
実際にストレスがあった方が、心の健康に良いという報告もある位です。
確かにすばらしい人格を形成させていく上で、ストレスと言うのはなくてはならないものです。
実はストレスが全くない状態で生活していることは、人間の心にとって良いものではありません。
精神的ストレスは、確かにうつの原因になり言えますが、
適度なストレスは心を強くして、落ち込みやイライラに対して強い心になっていきます。
②疲れ
人は疲れが溜まると眠れなくなったり、体が動かなくなったり、ひどいと心のエネルギーまで消耗してしまいます。
また疲れが溜まると、体の筋肉に力が入らなくなり、姿勢が悪くなって行きます。
私は作業療法士として、リハビリの現場に携わる中で、いかに生活する上で姿勢を良くすることが大切か?
ということをよく理解してきるつもりです。
姿勢次第で、体の動きが良くなるだけでなく、心まで明るくなるのです。
治療経験の中で、そのような患者さんをたくさん見てきました。
病気を治して、日常生活が自立して、幸せな人生を送る人は、立った姿勢も胸を張って顔もイキイキしています。
逆に病気がある程度良くなっても、前かがみ姿勢だったり、猫背だったりする人は、
いつまでも腰や膝、肩の痛みが取れず、不満や小言を口にする人が多かったと思います。
これは私自身もエラそうなことを言える立場ではなく、私がイライラしたり、他人の悪口を言っていた時期は、背中や腰の痛みが強く、非常に姿勢が悪い状態でした。
その原因を一言で言えば、体に疲れが溜まっていて、それに対して何もケアをしてこなかったからです。
体の疲れと言うの姿勢やその他の要因を解して心の状態に非常に悪い影響を及ぼします。
しかしだからといって、疲れ自体が必ずしも悪いものではありません。
ほどよい疲れは、体を成長させて、また姿勢のバランスも良くしていくという副次効果もあります。
運動やトレーニング、リハビリをする上で疲れというのはある意味欠かせないものです。
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③食事
食生活が乱れてしまうと、自律神経のバランスが崩れて、イライラや落ち込みが生じやすくなります。
例えばチョコレートが好きだからといって、チョコを必要以上にたくさんとってしまうと、
糖質の取りすぎで血糖値のバランスが崩れてしまいます。
そうなると、ちょっとしたことで疲れやすくなってしまったり、やる気が出なくなったり、
また精神的にもイライラしたり落ち着かない状態になりやすくなります。
またジャンクフードや、肉食ばかりに偏ってしまうと、腸内の悪玉菌が増えてしまい、腸内フローラのバランスを崩してしまいます。
腸内環境は心の状態に異常に強く関係しているので、お腹の調子が悪い人は心のバランスを崩しやすいと言われています。
ストレスで便秘になったり下痢になったり、お腹が痛くなる人っていますよね。
食事は心の状態に大きく影響しているといえます。
しかし食事に気をつかっていても慢性的な病気になったり、心のバランスを崩したりする人思います。
「食事が全てである」というつもりはありませんが、食事はとても生きていく上で大事な要素です。
④遺伝
しかし少なからずそのような要素はあるでしょう。
うつになりやすい遺伝子と言うものはないと思いますが、不安になりやすい遺伝子だったり、気が短い遺伝子、心配性になる遺伝子は存在するかと思います。
また遺伝のみならず、育った環境で親から受ける教育によって、その後の人生に大きく影響はあると思います。
やはり小さな頃に受けた教育が、その人の常識と言うものを形成しますし、人格にも大きな影響となるからです。
遺伝的要因が、気分の落ち込みなどの心の病に関係している事は間違いないでしょう。
しかし、
「自分はうつの親から生まれたから、鬱になるのは仕方がない」
と諦める必要はありません。
遺伝子というのもそもそも、アミノ酸からできており体のアミノ酸は、
食物や生活習慣によって影響を受けます。
脳内のセロトニンの量を左右する、セロトニン受容体もタンパク質からできていますし、
その量を決める遺伝子もアミノ酸からできています。
ついでに言うと、セロトニンやドーパミンなど、精神状態を作り出す脳内ホルモンのアミノ酸からできています。
良質なアミノ酸をとること、良質な腸内環境にすることで、それらの要因はいかようにも変えられるかもしれません。
親から受けた教育で、自分が落ち込みやすいんだ、と思っている人も、
その後の出会う本や仲間、師匠によって如何様にも変えることができます。
遺伝的な要因でうつになったと思われる人も、決して希望を捨てずに、前向きな生活習慣を少しずつでもいいので心がけてみましょう。
⑤生き方
生き方は今まで紹介したすべての項目に関連しています。
生き方というのは、その人が「本質的な生き方」をしているか?そうでないか?という違いです。
「生き方」は「考え方」と言い換えることもできます。
どれだけ能力があって、どれだけ情熱があっても、生き方や考え方が間違ってい?と、
幸福にはなれないと言われています。
むしろ能力や情熱が大きい人ほど、間違った生き方をしている人は、より大きな不幸を味わうかもしれません。
また無理な生き方をしているからこそ、ストレスや疲れの限界を無視して、
周りが見えなくなるほど頑張りすぎてしまったり、
甘いものや、お酒タバコなどの依存物質に走ってしまいさらに体を壊すことさえあります。
では「本質的な生き方」とは何なのでしょうか?
何をもって、
「今自分が本質的な生き方をしている」
と判断すれば良いのでしょうか?
それは常日頃から、自分自身がどういうことにワクワクするか?
ということを考えることが重要だと思います。
もっとたくさん文字を使って説明したいのですが、わかりやすくするためにこのワクワクと言う言葉を使わせてもらいました。
子供の頃から自分の人生を振り返って、どういった状況でワクワクしたか?
そのようなことを一度ゆっくり考える時間を持ってみてください。
実はそのことが、あなたがこの世に生まれてきた目的だったり、
使命なつながっていることが少なくないのです。
常日頃から、自分の行うことに、生きがいや使命感を感じられている人は、
誰にも負けない努力ができますし、大きな混乱も乗り越えられます。
逆にお金や地位、名誉だけのためにがんばる生き方をしている人は、
いざという時に簡単に心が折れてしまうかもしれません。
犯罪を犯してしまう人は、無理な生き方が重なってしまったのでしょう。
本質的な生き方をしている人は、決して心や体に悪いことに手を染めたりしないし、
無理に疲れを溜めて体をいじめるようなことはしません。
生活習慣が良いから、体の細胞や遺伝子も良い影響を受けるでしょう。
自分にとって、どんなことが「本質的な生き方」なのか?
どんな時に体調崩すのか?
その時は無理な生き方をしていないか?
その問いかけの繰り返しをすることで、本質的な生き方を見つけてみましょう。
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おわりに
私は長年、医療機関や福祉施設でリハビリの仕事をしていますが、自分を含め本質的な生き方ができておらず、
渇望や嫌悪感に満ちた無理な生き方をしている人は、なかなか病気が良くなりません。
糖尿病や、心疾患などの身体の病気、また骨折などの外傷そして、
不眠や不安、落ち込みなどの精神的な不調も全て無理な生き方が関係していると痛感しています。
「骨折は関係ないのでは?」と思われる人もいるかもしれません。
しかし、
例えば事故を起こす前の精神状態や、骨折しやすい骨密度になってしまった要因などは、
医学的な要因以外のものも関係していると言わざるいません。
そうです、食事の乱れや睡眠不足、心の持ち方など生き方的な部分も関係しているものです。
もし気分の落ち込みが、長く続いている人がいれば、決して自分を責めずに、
違う生き方にも目を向けてみてはいかがでしょうか?
まずは難しい事は考えずに、どんなことに今までワクワクしたか、振り返ってみましょう。
とても単純で、一見関係ないように思われますが、
それが辛い気持ちから抜け出す第一歩です。
【参考書籍】